四角い紙に描くことを軸にしてきた制作をあらためて別の視点から捉え直す試み。
ドローイングを素材として再構成し、構造や可能性を新たな形態として立ち上げることを目指したシリーズの展示です。
折り紙から着想したORGMシリーズでは、紙の折り・重なり・展開といった構造を手がかりに、面から立ち上がる新たな視覚的リズムを探っています。
また、EXTRACTシリーズでは、個が持つ固有性と集合としての全体性の関係を視覚化し、
個と全体が織りなす関係性の本質を探る試みでもあります。
“ORGM” シリーズ
折り紙から着想を得て、折る・重ねるという行為を通し、自身が描く抽象的なドローイングを物質的なアプローチとして変形パネルに再構築した作品です。
また折り紙がもつ“折ることで祈りや願いを込める”という日本的な所作にも重ね合わせ、線と面が折り重なる過程そのものに、静かな意志や願いが宿るような視覚体験を目指しています。
"EXTRACT"シリーズ
「extract」シリーズは、自己と他者、個と全体の関係性を視覚的に探求する作品群です。
通常は四角形であるキャンバスを、始まりも終わりもない“永遠の連続性”と“調和”を象徴する円形へと変換し、存在の循環的なつながりを表現しています。
総柄のドローイングをシルクスクリーンの版で円形パネルに刷ることで、同一の版から生まれながらも、それぞれが固有の個として立ち現れます。同一の源から派生したそれぞれの存在は、相互に関係し合い、全体としてひとつのアイデンティティを形成します。
このシリーズは、「オリジナリティとは何か」という根源的な問いと、個と全体が織りなす関係性の本質を探る試みでもあります。