Between Us Ed.II - 山浦のどか
「Between Us」第2弾として、KURAギャラリーでは山浦のどかさんをご紹介できることを嬉しく思います。
6月26日に彼女のオープニングイベントを開催予定であり、17時より作品についてのトークを行います。また、来場者の皆さまからのご質問にもお答えいただく予定です。
山浦さんは四国地方の町に暮らしており、地元の工房で作られる和紙と、日本の伝統的な藍染を用いて作品を制作しています。自然から受ける感覚や情景を捉えることを主なテーマとし、それらを作品へと昇華させています。
以下の質問が、より深い理解や新たなインスピレーションにつながれば幸いです。
1. 和紙と藍染を主な素材として選ばれたきっかけは何ですか?
2019年の冬、アワガミ・アーティスト・イン・レジデンスに参加し、光を感じる和紙作品を制作・発表したことがきっかけでした。
その後、和紙についてもっと深く知りたいと思い、東京から徳島へ移住し、アワガミファクトリーで手漉き和紙や藍染和紙の製造に携わるようになりました。
和紙が持つ素材感や光との相性、そして藍染の瞬間ごとに変化する色の表情に触れる中で、自分が表現したい光や気配の感覚と自然に重なるものを感じました。
私は和紙や藍染を通して、普段は見過ごされてしまう光や気配、自然の美しさを表現したいと思っています。
2. 作品は「作られるもの」だと考えますか、それとも徐々に「立ち現れるもの」だと考えますか?
私の作品は、どちらかといえば徐々に現れてくるものです。
制作前に構想はしっかり考えますが、実際に描き始めると、自分の模様(NODOKA)がどこへ動きたいのかを、手や頭、そしてその場の空気と対話しながら探っていきます。予想していなかった流れや発見が現れることもあり、そうした偶然性も大切にしています。
私は完成された答えを見せるよりも、発見が生まれる瞬間や、生きているような流れを作品の中に残したいと思っています。
3. 和紙はとても繊細な素材ですが、作品における「儚さ」や「脆さ」についてどのように考えていますか?
私は和紙の繊細さの中に、むしろ力強さを感じています。
和紙は木が育ち、その繊維から生まれます。そして一枚の紙になるまでには、多くの工程と多くの人の手が関わっています。
儚さや脆さという印象もありますが、その背景には自然の力や人の営みがあり、自分一人では生み出せない大きなエネルギーを感じています。
私はそうした繊細さと力強さの両方に惹かれています。
4. 観る人は作品の制作プロセスを理解するべきだと思いますか、それとも感覚的に感じることだけで十分だと思いますか?
どちらかと言えば、まずは感じてもらえたら良いなと思っています。
私の作品には「発見」があります。一見すると何もないように見える画面の中に模様が存在し、観る角度を変えることで初めて気付くことがあります。
私は制作の中で、鑑賞者の動作を大切にしています。覗き込んだり、しゃがんだり、見上げたりすることで、新しい景色や発見が生まれる。そうした体験も作品の一部だと考えています。
私は作品を通して、日常の中で見過ごしてしまうようなささやかな発見や、気付きの光を取り戻すきっかけを作りたいと思っています。
5. もし誰かが数秒だけあなたの作品を体験できるとしたら、まず最初に何を感じてほしいですか?
「発見」の感覚です。
「あ、いる」「あ、そこに在った」と気付くような瞬間を感じてもらえたら嬉しいです。
私は日常や自然の中にも、そのような発見があると思っています。何気ない瞬間にふと何かを見つける。その時に生まれる小さな驚きや喜びが人の心を動かすと思っています。私は、心が動くものには美しい光が宿ると思っています。これは私自身の持論です。
私はその感覚を作品を通して共有したいと思っています。
6. もし藍に音やリズムがあるとしたら、どのようなものだと想像しますか?
藍はとても静かな存在ですが、その奥には見えない力強さがあると感じています。
穏やかでありながら熱を持ち、風の流れや水面の揺らぎのようなリズムを持っているように思います。一瞬一瞬ちがった表情を見せる藍はまるで生き物です。
その静けさと力強さは、自分自身が作品の中で大切にしている感覚にも通じています。

GALLERY THOUGHTS
私はまだ山浦さんの作品を実際に拝見できていませんが、写真を見るだけでも、そこにある自然の美しさにすでに惹かれています。藍とパターンの組み合わせは、穏やかで心を落ち着かせるような感覚を呼び起こし、それはまさに自然が持つ力そのものだと感じます。
特に、山浦さんの「発見」というコンセプトにとても惹かれています。制作の中で生まれる偶然の可能性を受け入れ、それを作品へとつなげていく姿勢がとても印象的です。私自身、アート制作について学んできた中で感じるのは、「ミス」は本当の意味でのミスではないということです。それは、新しい何かへとつながるきっかけであり、特別なものへと変化し得る機会だと思います。
ご来場の皆さまにも、彼女の作品を通してそれぞれの「発見」をしていただければ嬉しく思います。
レイチェル
UltraSuperNew ギャラリーアシスタント